ふれあいネットワーク活動


◆ふれあいネットワーク活動とは◆



ふれあいネットワーク活動とは、独り暮らしの高齢者や障がい者などが,地域の中で孤立することなく安心して生活できるように,地域住民がお互いに協力し合い、見守りや声かけ,助け合いなど地域ぐるみで支え合う仕組みづくりを進める活動のことです。


◆ふれあいネットワークが必要な理由◆

(1)急速な少子高齢化
  平成28年9月30日現在,鹿屋市の総人口は104,492人で,そのうち65歳以上の高齢者は28,549人で高齢化率は27.32%と
  なっています。
地域区分
人口
65歳以上人口
人口 割合(%)
鹿屋地域
81,964人 20,742人 25.31%
吾平地域
6,815人 2,308人 33.87%
輝北地域
3,284人 1,403人 42.72%
串良地域 12,429人 4,096人 32.96%
鹿屋市全体 104,492人
28,549人 27.32%

さらに,世帯構成別でみると,平成22年10月の国勢調査時において鹿屋市内48,623世帯のうち一人暮らし高齢者世帯が5,800世帯(11.9%),高齢者夫婦世帯は6,006世帯(12.3%),高齢者と同居世帯は4,883世帯(10%)となっています。今後もこの割合は増加すると予想されます。




一般世帯 一人暮らし高齢者世帯  高齢夫婦世帯
総数 世帯数 割合(%) 世帯数 割合(%)
全国 51,842,307 4,790,768 9.2 5,250,852 10.1
鹿児島県 727,273 102,443 14.1 95,610 13.1
鹿屋市 48,623 5,800 11.9 6,006 12.3


(2)核家族化の進展と家族機能の変化
    人々の生活様式や意識の変化に伴って同居率は低下しており,別居化,核家族化が進行しています。そのため,
    昔 の大家族 のように,家族で支え合うことは難しくなっています。
(3)公的サービスでの限界
    少子高齢化社会の進展で,福祉ニーズも多様化しており,現行の公的サービスでは住民の日常生活上の課題全般に
    わ たって支えることは限界があります。
(4)地域の結びつき・人間関係の希薄化
    昔はどこの町や村にもあった助け合い(結い)の精神は,生活様式などの都市化が進むにつれて失われていき,
    隣人 同士が疎遠と無関心の中で生活することが多くなっています。最近,多く耳にする孤独死や虐待,さらには,
    物が れている 時代の中での餓死といったケースも,こうした状況を反映していると思われます

◆ふれあいネットワーク活動の機能◆



(1)ニーズ発見システム(見守り・声かけ運動)
独り暮らし高齢者などへの見守り,声かけ活動を行います。その活動の中で,日常生活の変化や健康状態の変化に気づいたことがあれば,民生委員などに連絡を行います。
(2)小地域助け合いシステム(助け合い運動) 
見守り・声かけ活動を通じて,生活上の困りごとに応じた簡単な生活支援(ゴミ出し,電球交換,台風時の戸締りなど),さらには,緊急時の対応を行います。 

◆ふれあいネットワーク活動の効果◆



(1)活動の受け手にとっては,地域とつながるーズ発見システム(見守り・声かけ運動)
(2)活動の担い手にとっては,地域とつながることで,地域に役立っているという喜びが得られ地域対する関心が高まります。また,福祉制度やサービスへの理解が進みます。
(3)取り組む地域にとっては,活動が広がることによってつながりが強くなり,住民(地域)の問題解決力が向上するとともに,住民相互の助け合いや交流・援助の輪が広がり,安心・安全なまちづくりの維持・実現が可能となります。

◆ふれあいネットワーク活動の手順◆

ネットワーク活動を地域で取り組んでいくには,概ね次のようなステップで進めることになります。

ステップ1 活動の理解

(1)住民座談会を開きましょう。

地域の皆さんに公民館などに集まっていただき,社協職員が“地域の現状”や“ふれあいネットワーク活動”についてお話します。「なぜ地域でこのような取り組みが必要なのか?」など,地域の皆さんと一緒に活動について話し合う機会をもちます。

☆ポイント☆
ネットワーク活動は,住民同士の支え合い活動であり,地域全体で取り組むことが重要です。町内会役員や民生委員・児童委員など一部の人だけで行うものではありません。地域住民一人ひとりが互いに“ちょっと気にかける”ことが大切です。このことを押さえて,多くの方に参加してもらい,地域全体で取り組んでいけるように理解してもらいましょう。


(2)話し合いのメンバーを募りましょう。

具体的にネットワーク活動に取り込むとなると,まず活動を進めようとする関係者が集まって,次のようなことについて話し合う組織をつくることが必要です。
・何を目的に(目的)・何を対象に(対象者)・どんな人々が協力して(構成員)
・いつから(開始時期)・どんな方法で(方法)

ある町内会のメンバー ~例示~
町内会役員(町内会長・副会長・書記会計),町内会理事,民生委員児童委員,在宅福祉アドバイザー,高齢者クラブ,
商工同好会 10名


☆ポイント☆
話し合いのメンバーは,多ければ良いとは限りません。ネットワーク活動につながりがあると考えられる方を中心にメンバーとしましょう。町内会の規模にもよりますが,10人前後が多いようです。地域の実情に合わせて,組織基盤を作りましょう。


ステップ2 対象者の選定



(1)地域の福祉課題を把握しましょう。
 地域の方が日頃どのようなつながりがあるか,また,生活上何か困っていることはないか等,住民アンケート調査や支え合いマップづくりを通して地域の課題を把握しましょう。 
(2)対象者を決めましょう。
 アンケート調査や支え合いマップづくりで見えてきた地域の福祉課題と照らし合わせながら,見守りが必要と思われる方や気になる方を把握・選定しましょう。

☆ポイント☆
一人暮らし高齢者の全員に,見守りが必要とはかぎりません。むしろ後期高齢夫婦のみの世帯や同居家族がいても日中独居の方などのほうが,必要性が高いことも少なくありません。なお,民生委員の活動台帳や市役所が進める災害時要援護者台帳を基に,日頃の見守りも希望するかどうかについて確かめることも有効な方法です。


(3)対象者の同意を得ましょう。
 対象者に,地域全体で見守っていくあるいは支えていくそんな活動をはじめることをお伝えして同意を得ておきましょう。近年,振り込め詐欺や悪徳商法等の被害拡大により,プライバシーにとても敏感です。未然にトラブルを防ぐことにもつながります。

※もしもネットワークが必要と思われるのに断られたら・・・
ネットワーク活動が必要と思われる状態なのに,本人や家族が遠慮,無理解,プライド,偏屈などから断られるケースもあります。そうした場合,対象者宅へ訪問といった直接的な見守りではなく,『カーテンの開閉はあるか,新聞や郵便物がたまったままでないか,照明がつけっぱなしになってないか』などに気を配る間接的な見守りの対象として考えることが望ましいです


ステップ3 活動の担い手の選任。

(1)活動の担い手を決めましょう。

ネットワーク活動の対象者が決まったら,次は活動の担い手となる方を選定し,組合せてみましょう。この活動のねらいや日頃の活動の仕方などを説明して「わかりました。引き受けましょう」と言ってもらうことが必要です。

☆ポイント☆
隣近所だからといって必ずしも相性が良いとは限りません。また,「町内会役員や班長さんにお願いしよう。」と安易に選定してしまうと,せっかくの活動も長続きしない恐れがあります。対象者がほっと安心するそんな人を選定していくことが大事でしょう。


(2)ネットワーク活動の計画票を作成しましょう。
対象者や担い手の計画表を整えましょう。地区と氏名,性別,年齢,世帯状況の記載は,最低限必要ではないかと思われます。いつ,だれか,どれくらいの頻度で活動するかも併せて決めていきましょう。

                                    ○○地域ふれあいネットワーク活動計画表

氏名  性別 年齢 世帯状況 見守り協力隊員 見守り協力隊員 見守り協力隊員 備考
1 1班 社協 太郎 91歳 独居 串良 花子 輝北 二郎 吾平 桃木  
2                  
3                  
4                  
5                  
6                  
7                  
8                  
9                  
10                  

ステップ4 活動の開始

(1)出発式を開催しましょう。

ふれあいネットワーク活動を構成しているメンバーが一堂に集まって,次のような話しあいと確認を行いましょう。
・活動の概要や主旨を全員で確認する。・対象者のことを良く知る。
・各人の役割を確認する。・定期的な連絡会の開き方を確認する。
・緊急時のつなぎ方について確認する。・活動に必要なもの(ネーム,活動記録帳等)

(2)活動をはじめましょう。
 さあ,いよいよネットワーク活動の開始です。対象者宅に,見守り協力員が定期的に訪問し安否確認を行いましょう。また,その方の困りごとに応じて出来る範囲の助け合い活動も行いましょう。

見守り・声かけ運動

.

助け合い活動(電球交換)

助け合い活動(ゴミ出し)

.

ステップ5 活動の降り返り

(1)定期的に連絡会を開催しましょう。
 活動も振り返り鵜が必要です。メンバーが集まり,活動の点検や意見交換等を実施しましょう。また,活動を通して課題があった場合などは,勉強会なども実施することも大事です。必要に応じて,社協や地域包括支援センター等へ情報提供を行います。

「聞こえてきた声」~担い手側~
・話し相手になることが一番望まれている。
・地域に今まで以上に親近感がわく。
・知識と経験のある方々なので逆に勉強させてもらう。
・○○さんも声かけが必要でないか。
・認知症の方の関わり方が難しい。  等々

「聞こえてきた声」~受け手側~
・安心して,この地域で長生きできる。
・こんなにありがたいことはない,幸せ。
・離れて暮らす家族もとても喜んでいる。
・息子が隣に住んでいるが,ほとんど居ないため,活動員の方がいてとても助かっている。等々

(2)計画表の見直しをしましょう。
 定期的に計画表の見直しを行いましょう。対象者の追加や転入,また転居や死亡などにより,対象者の追加や削除を行い,出来るだけ現状に合わせておきましょう。計画表を作成し、そのまま何年も更新しないと実際に活用できないものになってしまいます。

☆ポイント☆
話し合いの進み具合や活動の様子などを機会あるごとに(例えば敬老会や町内会の役員会など),地域の方々に知らせておきましょう。地域ぐるみの活動とは,地域全体の理解があってこそはじまるものです。活動が浸透していくためにも心がけてみましょう。

◆活動の心得◆

見守り対象者のプライバシーの保護には,十分気を付けましょう。

個人情報収集は,活動に必要な最小限にとどめ,知り得た情報は他人に漏らさないように気を付けましょう。

訪問するときは,見守り対象者の人格を尊重しましょう。

見守り対象者にはいろいろな性格の人がいます。ゆっくりと会話を楽しみにされる方や,安否確認,声かけで訪問が終わる方など,その方にあった対応,会話を行いましょう。日中1人きりで,見守り協力員の方々の訪問を楽しみにされている方が多いようです。時間の許す限り話し相手になりましょう。また,1人で訪問しにくい場合は,複数で行ってみなしょう。

ネームをつけて活動しましょう

訪問販売等と間違われないよう見守り協力員のネームをつけて活動しましょう。

活動の記録をつけましょう

活動を行ったあとは活動記録簿に記録をつけましょう。また,普段と違う状況だと感じた時などは特記事項に記入しておいてください。

緊急時の対応について確認しましょう。

緊急時は,町内会長や民生委員などにつなぎましょう。決して1人で対応せずに民生委員や関係機関等に協力をもらってください。